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主人公の名前を変更できるゲームの二周目をやる時は
必ずダーリンとかハニーとかシュガーとかふざけた名前でやる派です
(ちなみに坊っちゃんにダーリンと名付けた場合は
 真っ先にテオ様がダーリンと呼んでくれます)
そういう訳でテッドに「ダーリン♥」と呼んで貰った結果
普通に興奮したのでそんな感じのSSSを書きました
なんか(久々の更新がこれか…)って感じの内容ですが
ふざけたSSSでもいいよ!って方は続きからどうぞー

--------

めうつつ

「――ン、――ろよ。ぉーい……、おーいってば!」
痺れを切らしたような大声とパンと鳴らされた手の音で僕は目を覚ました
記憶が霞がかったようにあやふやで、取り敢えず辺りをぐるっと見回してみる。
僕は知らない家のダイニングらしき所でテーブルについていて
窓から見える明るい景色から察するに、時間帯はまだ朝のようだった。
「おーい、ぼーっとしてたと思ったら
 今度はいきなりキョロキョロしだして、どうしたんだよ?」
不審げに僕を呼ぶ声に反応して顔を向けると
そこには何故かヒラヒラフリルのエプロンを付けたテッドが立っていた。
彼は両手を腰に当てて怪訝そうな顔をしている。

「え、テッド? 何? そのグレミオみたいなエプロン……。
 ――ていうか、ここ、何処?」
眼の前に広がる光景は違和感に満ち溢れていて最早疑問しか湧いてこない
僕は思わず記憶喪失になった患者のようなセリフを吐いた。
「はあ? お前本当どうしたんだよ大丈夫か? 此処はおれ等の家だし
 エプロンに至ってはそのグレミオさん本人に貰った物じゃねーか」
本格的に僕の頭が心配になってきたのか、テッドは僕の目の前でヒラヒラと手を振る。
対する僕は彼の言葉に一瞬だけ強い違和感を感じたあと、
"そう言えばそうだ、むしろ何故今まで忘れていたんだろう"と納得した。
テッドが言う通り今日の僕は少しどうかしているのかもしれない。

「……あ、そうだよね、ごめん僕まだ寝ぼけてるのかもしれない」
「ったく、毎日毎日頑張りすぎるから、こんな状態になっちまうんだよ」
謝罪する僕にテッドは呆れ混じりの口調でそう返した。
そこまで頑張っている覚えはないが、不調が出ているのは
確かに事実だから黙ってその小言を受け取っておく。
「――ま、そんな所に惚れて結婚したんだけどな」
手で口を軽く覆いながら控えめに笑ったテッドのその言葉に
僕は、人生初なんじゃないかと思う位大きく目を見開いた。
「……けっ、結婚ッ!?」
そしてたっぷり二十秒は固まってから面白味もなくオウム返しをする。

「……お前本当にどうしたんだよ?
 流石にそういう発言は洒落になんないぞ?」
自身も少し驚いたような顔で、驚く僕をジトリと見つめ
そう言葉を投げかけてくるテッドは拗ねているような、
怒っているような、本格的に僕を心配しているような
なんとも言いがたい複雑な表情をしていた。
少なくとも冗談を言って僕をからかっているような顔ではない。
「う、えっと……」
僕は一体何て返せばいいのか分からなくて、情けなくもおろおろと口籠った。
それを黙って見つめていたテッドは困ったように眉をひそめて
「はぁ」と小さく溜息を付き、僕の額に自分の額を重ね当てた。

「んー……、やっぱ熱とかは無いよなぁ」
十数秒で僕から離れ、神妙に呟くテッドの声は
もう怒り等微塵も含んでいなくて、ただただ僕を心配しているようだ。
「なあ、ほんとーに忘れちゃったのか?」
「ぁ、ご、ごめん」
正直"自分が何を忘れたのか"すらよく分かっていないのだが
少しの焦りさえ感じさせられるテッドの表情に、謝らずにはいられなかった。
「……はぁー。……まあ、お前がおれを
 傷付けるような冗談言うなんて絶対ありえないもんなあ……」
テッドは自分の額に手を当てて考え込むように瞳をふせている。

「これマジで記憶喪失ってやつとかか……?」
等と、小声でポソポソ零しながら考え込む彼の言葉に少し不安になってきた
もしかすると気付かぬ内に本当に何処か悪くしてしまったのだろうか?
「……なあ、おれとお前の関係は?」
「……え、と、」
僕の記憶が正しければ"同居人で親友"の筈だ、だが恐らくこの答えはハズレなのだろう
"結婚"という単語と、彼の困惑と不安を混ぜたような表情がそれを物語っていた。
「これとか、これ見ても、駄目か?」
テッドは机の上からマグカップとペティナイフを持ち上げ僕に見せる
だが少なくとも今の僕には、どちらも普通のカップとナイフにしか見えない。

軽く眉をひそめる僕を見て察したのかテッドは
「カップはパーンさん、ナイフはクレオさんから貰った奴なんだけどな……」
と溜息混じりに言い、肩を落とした。
少しうつむく彼の瞳は心底困り果てた風に頼りなく揺れていて
僕は大きな罪悪感と少しの違和感で胃がギリギリ痛み始めた程だった。
「結婚式の時に貰って、おれもお前もすごい喜んだろ?」
テッドは僕の手を両手で取ってギュウと握りしめ
その縋るような行動に、僕の中の罪悪感はさらに大きく刺々しくなっていく。
とはいえ、そんな心情とは裏腹に肝心の記憶は今も霧がかって見えないままだ。


「……なあ、ダーリン、ほんとにどうしちゃったんだよ?」
僕の手を握りしめたままの彼から放たれた声は本当に不安気で
こっちの心まで痛むようなものだったのは確かだ。
しかし"ダーリン"というトンでもない破壊力を秘めた一言に
全てを持って行かれてしまったというのもまた確かだった。
もしも飲み物を口に含んでいたとしたら確実に吹き出していた事だろう。
「ダッ……! ダーリンッ!?」
目を見開いて言葉そのままをオウム返しする自分にデジャヴを感じる
驚きのあまり罪悪感も焦りも混乱も、一瞬全て吹き飛んだ。

だがそれはあくまでも"一瞬"で……、
ぽろりと一滴涙を零したテッドを視認した瞬間
罪悪感と焦りと混乱は倍以上に質量を増して僕のもとへ戻ってきた。
「あっ! ご、ごめ、ちがくて、」
自分でも何が違うのか分からないが思わず言い訳をした
心臓の音がバクバクと煩い、このまま弾けてしまいそうだ。
「ダ、ダーリン……、本当に全部……、忘れて……」
今度は立て続けにほろほろ涙を零すテッドに
ザアッと音が鳴るんじゃないかという位一気に血の気が引く。

「ぁ、テ、テッド……!」
「――――ッ!」
半分無意識に伸ばした僕の腕をテッドは身を翻して避けた
そしてそのまま逃げるように走り去って行ってしまう。
『待って! 待ってくれテッド!!!!』
小さくなる背中に、思わずそう叫んだ瞬間。

僕はバチリと目を醒ました。
大きく跳ねた自分の腕はジットリと嫌な汗をかいている
荒い息を整えながら見回した周囲は、今度こそ、見慣れた自分の部屋に紛いなかった。
僕は大きく一息吐き出してぐったりと全身の力を抜いた
幾ら夢だったとはいえ、あの妙な緊張感はなかなか精神にキた。
(なんだったんだ、あの変な夢……)
窓から差し込む強すぎる日差しを遮るように両目を腕で覆った。
"げんなり"という表現が一番似合いそうな気持ちで再びため息を付いた時
控えめな音を立てながら僕の部屋のドアが開いた。

そのドアの隙間から顔を覗かせて、
「……おーい、起きてるかー?」
と少し小さな声で僕の様子を窺ったのはやっぱりテッドだった。
「ぁ、うん、起きてるよ……」
そう返した僕の声が疲れ果てたような掠れ声だったのは
多分"寝起きだから"という理由だけではないだろう。
「いやさ、なんか凄い声、……てか寝言?
 聞こえたからさ。ちょっと心配になって見に来た」
困ったような笑顔のテッドから放たれたその言葉から察するに
おそらく『待って!』辺りから実際に声に出てしまっていたのだろう。

「ああ、心配かけてごめんテッド。
 ちょっと変な夢見てさ……、うるさかったよね」
「はは、いいっていいって。夢なら自分じゃどうしようもないもんなぁ」
そう言ってカラッと笑う、フリフリエプロンなんて付けてない
いつも通りのテッドに"ああやっぱり彼はこっちの方がいいなあ"なんて思う。
「んじゃ、おれ部屋戻るわ、まだ眠いしな」
「うん、僕ももう少しだけ寝るよ」
くあ、とアクビをしながら軽く体を伸ばすテッドに、
気が抜けたせいかドッと眠気が戻ってきた体でそう返す。

「もう変な夢見んなよ? じゃ、ほんとにおやすみハニー」
彼がヒラリと手を振ったのを合図にしたかのような
タイミングで僕の部屋の扉は音を立てて閉まった。
そしてその部屋の真ん中のベッドには
あんぐり口を開けて固まる僕が一人、取り残されていたのだった。

はたしてこれは、ゆめ? うつつ?

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