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最近ちょっとスランプ気味なのでまだ先になりそうですが
「紋章様~」が完結したら、原作に近い設定で
長めの坊テ馴れ初め話を書きたいな、と考えています
大雑把なあらすじは浮かんでるんですが細かい所はまだ未定なので
亀更新&下手すると尻切れトンボになるかもしれませんが
捏造要素少なめで頑張ってみたいなーと思っています

そして馴れ初めネタを考えてる内に
"お坊ちゃんらしくプライドが高くてちょっと傲慢で
他人を意のままに操るのが大好きなぶりっ子坊ちゃん"と
"『幸せな環境に生まれて何不自由無く育ってきた人』を
見ると思わず鼻っ面へし折りたくなる捻くれ猫かぶりテッド"の
織りなすハートフルラブストーリー(大嘘)とかもイイかもな
と妄想が降りてきたのでそんな感じのSSSを一本書いてみました
相変わらずの捏造過多っぷりですが興味のある方は続きからどうぞ

***
レス不要のコメントや拍手を下さった方々ありがとうございました
拍手もコメも貰える度に嬉しくて舞い上がっています!


-----------
※坊ちゃんの名前はとりあえず「リク」にしてあります

も喰わない

「ありがとう、ボクには少し重かったから
 キミが手伝ってくれて本当に助かったよ。」
いかにも人当たりが良さそうな甘く柔らかな声、
買い物帰りの道で偶然耳に飛び込んできたその声にテッドは眉を顰めた。
よくもまあここまで猫が被れるものだ、と心の中で吐き捨てる。
「いや、このくらい全然平気だから、またいつでも頼ってよ!」
"舞い上がっている"と言う言葉がもっとも似合いそうな声で
何処の誰ともしれない男が格好つけてそう返す。
その返事自体は何とも爽やかだったが、声には下衆い下心が滲んでいた。

「ふふ、優しいんだね。じゃあまた何かあったら頼っちゃおうかな。」
鈴が転がるようなその声を耳にしテッドは思わず一言呟いた。
「……餌やり。」
その声は十中八九誰にも届かないだろう小さな声だったが、一応口を押さえてみせる。
「いやほんと、リク君になら何回頼られても全然OKだから。
 あー、あとさ、リク君これからヒマ? 俺とどっか遊びに行かない?」
テッドが思わず"餌やり"と称した返事に気を良くしたのか
男は少し興奮気味に、リクと呼ばれた少年へ近寄った。
そのあまりに早い話題転換にテッドは小さく吹き出す。

「あ……、ごめんね、今日はちょっと大事な用があるんだ。
 誘ってくれたのは嬉しいんだけど、抜けれそうにないから……。」
リクと呼ばれた少年は心の底からすまなそうな声で男に謝罪した。
その声を聞きテッドの笑いはますます深くなっていく、
大声をあげて笑い転げないよう相当努力しなければいけない位にだ。
「あー、いやいや、こっちこそ困らせてゴメン。」
そう言う男の声はあからさまに落胆しているどころか、
軽く苛立ちさえ孕んでいる、躱されたのがよほど悔しかったのだろうか。
"毒グモに引っ掛かったのは可哀想だけどコイツも大概クズだな"
と、テッドは脳内で独りごちた。

「本当にごめんね、また今度誘ってくれると嬉しいな。」
「勿論、絶対誘うよ! じゃ、また!」
「うん、またね。」
リクは少し申し訳なさそうな笑顔で去って行く男に手を振る
だがその笑顔は、男の背中が曲がり角の先へ消えた瞬間に壊れて無くなった。
長い指は艶めく黒髪を無造作に掻き上げ、薄紅色の唇は乱暴に舌打ちをする
先程まで纏っていた柔らかな雰囲気と正反対のその姿は、まるで別人のようだった。
テッドは今までなんとなく消していた気配を、わざとらしく
大げさに解放させると、ゆっくり大股でリクの元へ歩いて行った。

「お前、いつからその程度も持てない非力君になったんだ?」
リクの隣に置かれた荷物を指さしたテッドは、挨拶も抜きにそう言った。
「やあテッド、ずっと見てたの? 随分いい趣味してるね。」
対するリクも仮面のような笑顔と冷たい声で皮肉を返し、さらに
「それにこんな大量の荷物、持てなくたって当然でしょ?」
と付け加える。彼の長い足は行儀悪く荷物の側面をボスンと蹴った。

「へーえ、そうかい。この程度、精々10キロあるかないかに見えるが、
 家のどデカいテーブルを涼しい顔で運んだ奴でも持てない量なんだな。」
テッドはしっかりと足跡が残った哀れな荷物に一瞥をくれると
腰に両手を当てながら、ニヤリと笑ってそう吐き捨てた。
その言葉を聞いたリクは整った細い眉を盛大に歪ませる
テッドが幾度と無く持ち出すこの言葉は、彼にとって最大の失態であり弱みだったからだ。

それはリクとテッドが出会ってまだ数日しか経っていない頃の話だ。
リクはテッドの悪癖を知らず、テッドもリクの本性に気付いていなかったその頃
今ではテッドの住み家となっているが当時はまだ空っぽだった家へ
家具や荷物を運ぶため、マクドール家一同が駆り出された事があった。
一応まだ猫を被ってはいたとはいえ、内心かなり面倒臭がっていた
当時のリクはその日、今では100%あり得ない程に気を抜いていた。

例えば、その時の自分が"か弱く非力で思わず助けたくなるような人間"
を演じていた事も忘れ、あろうことかテッドの目の前で
優に50キロはあろうテーブルを軽々運んでしまった、という位にだ。
その日からリクはテッド相手には"非力なリク君"攻撃が使えなくなってしまった。
どう見ても自分のミスが原因で起きてしまったこの失敗を、
エベレスト級にプライドの高いリクが良しとするわけもなく
この他愛ない出来事は彼の中に人生の汚点として色濃く刻まれていた。

「……そう言えばボク、ちょっと面白い噂話を聞いたんだけどさ。」
顰めた眉はそのままに、少しの間何パターンかの反撃を考えていたリクは
一度ふっと息を吐きだすと緩やかな笑みを作ってそう言った。
その急激な態度の変わり様に今度はテッドが軽く眉をひそめる。
「テッド、きみ、今度父上が出なきゃいけない狩猟会に
 サポートとして参加しないかって誘われたんだって?」
その言葉を聞いたテッドの表情は"何でそれを知っている"と言わんばかりの険しい物で
対するリクは、それに反比例するようにますます晴れやかな笑顔になっていく。

「それでここからが面白い"噂"なんだけどさ、
 なんとテッドはその名誉な誘いを断った、って"噂"なんだよ。」
ニコニコと可愛らしく笑うリクはその話が真実だと知っているにも関わらず
わざと"噂"という言葉を強調させるように言った、勿論目的は嫌がらせである。
「はっ、別に噂じゃねえよ。実際おれみたいなガキがついて行ったって
 途中でヘマしてテオ様に迷惑かけちまうだけだろ? 断って当然だって。」
テッドは両腕を広げながら、少し演技がかったような謙虚な口調でそう返す。

「ふうん、そう、まあたしかにそうかもしれないね。
 飛んでるクロウの目にピンポイントで100%矢を当てるキミでも、
 ヘマをして父上に迷惑をかけちゃうかもしれないよね。」
皮肉たっぷりにそう言ったリクは一度言葉を切ってから、極上と言わんばかりの笑顔で
「ほら例えば、プライドと地位だけは無駄に高い
 どこぞのアホ貴族の分まで全部片付けちゃったり、とかね。」
と付け加えた。リクのその言葉はあながち間違いとは言えず
テッドの弓の腕と"恵まれた人間を思わず叩きのめしたくなる"悪癖を
考えるとむしろ正解に限りなく近い予想だと言えた。
図星を突かれたテッドは思い切り顔を顰めている。

だがその顰めっ面も長くは続かなかった
まるでさっきのリクの行動を再現するようにテッドが口角を上げる。
「そういやおれも、変な"噂"を聞いたんだけどさあ……。
 お前貴族の嬢ちゃんに武術の指南を乞われたんだって?
 しーかーも『僕ではきっと力不足ですよ』つって断ったらしいな?」
それを聞いたリクの方も、先ほどのテッドを真似るように表情を苦い物へと歪ませる。
「ああ、そうだね、その通りだよ。
 実際ボクは人に教えられる程強くないからね、当然でしょ?」
「ふぅん。飲み込みが早くて熱意も才能もある、って
 評判のリク様でも出来ないことはあるんだな。」
いっそ嘘っぽい位に謙虚なリクの言葉と、その隙を突くようなテッドの返答は
先程のリクとテッドのやり取りを立場だけ入れ替えたようなものだった。

「教えられた事をこなすのと、人に教えるのとじゃ難しさが全然違うからね。」
「へーえ、そーなの。でも一週間ちょっとでおれに棍術の基本を
 バッチリ叩きこんで下さったのは確かリク様だった気がするんだけどなあ。」
テッドは軽く瞳を細めながら、リクを煽るような言葉を返す。
皮肉染みたその言い方は確実にリクを挑発するための物だったが
言った内容自体は、変わりようのない事実だった。
実際リクは意地の張り合いの延長で、テッドに棍術を仕込んだ事があった。

「くっ、……そ、それはキミの覚えがいいからじゃない?
 最初から構えが様になってたし、本当は独学で少し触ってた事あるんでしょう?」
リクは一瞬言葉に詰まったがすぐに頭をフル回転させテッドに言い返す。
「う……、だ、だけど、普通は独学で中途半端に覚えて
 変な癖付けてる奴に指南するほうが難しいだろ。」
テッドも一瞬怯んだがなんとかリクにそう返した。
「いーや、キミはちょっとコツを教えただけですぐ正しい所作を
 覚えたし、教えるのなんてすっごく簡単だったって!!」
「そ、れ、は! お前の教え方が上手いからだろぉ?
 教え下手な奴はそもそもコツを伝える事自体が出来ねーの!!」

さらにジワジワとヒートアップしていくリクとテッド。
だが二人とも喧嘩腰なせいで罵倒し合っているように見えるが
彼らが言い合っている"内容"だけを冷静に見てみると
"実力が有るのに何故それを隠す"と"自分よりも相手の方が凄い"
という、この二つである。本人達は一生認めないどころか
その事実に気付きすらしないだろうが、つまるところ
さっきからこの二人は必死にお互いを褒めあっている、という事だ。

テッドとリクはやはり未だぎゃあぎゃあと口喧嘩を続けている。
両者共々瞳に闘志が赤々と燃えているこの状況を見る限り、
おそらくあと数十分はこのまま、惚気のような言い争いが続くのだろう。

気の強い笑みを浮かべたまま鍔迫り合いを続ける二人を見向きもせず
一匹の野良犬が、野晒しにされたままの荷物と、リクの足の間を通って行った。

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おまけの簡単プロフィール

リク・マクドール
・一人称は「ボク」だけど本当は「俺」
・基本捻くれ者だが根底には何だかんだで正義の心を持っている
・自分の見た目の良さを自覚してる為よくブリっ子して他人を操っている
・女性がちょっと苦手、とくにガンガン来るタイプの人は嫌い
・テッドとはほぼ皮肉のみで会話するような仲
・でも多分ソウルイーター受け取る時はテッドを心配するような発言しかしない
・グレミオ、クレオ、パーン、テオが相手だと常に素直なデレ状態
・テッドが相手だと全力でツンデレ
・その他が相手だとデレ(演技)に見せかけたツン(本性)

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